本日ご紹介の患者さんは頬骨(きょうこつ)アーチリダクション=頬骨弓リダクション≒頬骨削り(切り)をお受けになられた患者さんです。
頬骨アーチリダクション、頬骨弓リダクションは無理に日本語に訳すと頬骨弓減幅術または頬骨弓減高術とでもいいましょうか。
内容は頬骨(きょうこつ)の張りを減少させる手術となります。
この頬骨の張りを減少させる方法として大きくわけて3種類あります。
1.頬骨を削る方法・・・・・ まさに頬骨削りの文字通りの方法です。 特殊な電動機械を用いて頬骨を削りますが削り幅はあまりたいしたことはなく頬骨のでっぱりが強めの人には適しません。 もちろん時間をかけて削れば削り幅を増やすことは不可能ではないですがモーターが焼け付く可能性があるため削り幅に限度があります。
2.頬骨弓を切り落とす方法・・・・ 多くの形成外科医が行う頬骨弓に対する術式です。口腔内と耳前部よりアプローチし頬骨弓を切り落とす方法です。 リスクとしては他院でこの術式でされて顎関節が破壊され開口障害が生じて困っている方や段差でお悩みの方、変化が感じられない方等のご相談をうけたことがあります。
3.頬骨弓の形態そのものを再構築する方法・・・・ ライフクリニックの勝間田先生が昭和50年後半から60年前半にかけて十仁病院にて研究開発された手術法で頬骨を細分化して再配列、再構築する方法です。
他の方法で効果がなかった多くの患者さんがこの方法を求めて勝間田先生のところへいらっしゃっています。
今回ご紹介の患者さんは他院にて顔面脂肪吸引をお受けになられた既往のある患者さんです。今回は頬骨の張りを減らしたい、口角横の膨らみを改善したいとのことで頬骨再構築法および脂肪吸引術をお受けになられました。
ご説明させていただいたリスクは
A.頬骨再構築法 に対しては
1.再構築法は効果が非常に高い方法だが反面凹みすぎと感じる可能性があり得る。
→改善治療可能
2.顔面神経側頭枝麻痺を生じる可能性がある。その場合は8~9割の確率で約6~8ヵ月後に改善することが予想される。
3.レントゲンやCT上は半年~1年近く骨がない様に見えることがある(だからといって骨がなくなっているわけではない)。 この術式を知らない医師が見たらびっくりするかも知れない。
B.脂肪吸引術 に対しては
1.口角横の膨らみは脂肪のみで生じているともいえないため絶対的改善を約束できるものではない。
2.えくぼ様なくぼみが生じる可能性がある。→改善治療可能
となります。
上段:術前です。
中段:術後1.5ヵ月後再診時です。
下段:術後4ヶ月再診時です。 (写真は患者さんの快諾を得て供覧しています)
まだ寝るとき頬を押すと痛いとのことですか外観は満足とのことでした。
私の行う頬骨再構築法のデメリット
1.効果がありすぎて希望よりも凹んだ状態に感じる場合がまれにあります。 その際は脂肪移植等のメンテナンスが必要になります。
2. 顔面神経側頭枝の一時的麻痺(おでこに皺を作ることができなくなる、眉が上がらなくなる)の可能性があります。
現在半永久的に麻痺が残った方はいませんが改善まで最長8ヶ月を要した方がいらっしゃいます。
3. 完成まで約半年を要します。