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小陰唇縮小手術
先日ご相談メールをいただきました。 様々な問題を内包するご相談でしたのでご紹介させていただきます。具体的地名等は患者さんのプライバシーのため隠させていただきます。

「女性器形成についてのご相談です。経緯を書かせていただきます。 昨年の三月に○○県の美容外科にて小陰唇縮小手術を受けました。この病院を選んだのは、比較的近かったこと、形成外科専門医だったこと、女性の医師だったからです。静脈麻酔で完全に眠っていたので痛みはありませんでしたが、術後は、術前説明より大分、痛みと出血があり、それが長引きました。しばらくして局部を見ると凸凹だったので、先生に連絡を何度かしましたが、返信をしてもらえませんでした。私もこの先生に修正手術を頼むのは怖かったので、○○の美容外科に行く事にしました。ここは日本美容外科学会の会員で、形成外科専門医で、女性の先生だったので決めました。凸凹の相談だったのですが、何故か陰核包茎の手術になってしまい、陰核の場所を知らなかった私は、凸凹が治るものと思い、手術を受けました。この術中、思いもよらないことを言われました。「クリトリスがほとんどない」「前回の手術で切られた可能性がある」「その場合、相当出血と痛みがあったはず」思い当たる節がありましたが、どうすることもできませんでした。当然、この手術で凸凹が治るはずもなく、つい2週間前に同美容外科にて小陰唇修正手術を受けてきました。ですが、腫れがあるとしても、凸凹は治っていません。女性の先生に固執し、病院を選んだ私が悪かったかもしれませんが、形成外科専門医などの肩書き、歌い文句がとても立派だったので、信じていました。今は何を信じていいのか分りません。お金もないのに大金を支払い、クリトリスを切られ、奇形にされ、修正できるのかと思うほど小陰唇が小さくなってしまいました。手術の恐怖と痛みにたえ、大金を支払いこの結果かと思うと、涙が出てきます。「美容外科医のモノローグ」というブログ?内の小陰唇手術の写真を拝見しました。2007-03-31が特に綺麗で、驚きました。手術に対してのお言葉なども読ませていただき、この先生なら、と思いメールさせていただきました。 ○○県と遠方でカウンセリングに容易に伺えません。失礼承知でお聞きさせてください。メールで写真をお送りし、詳しくは無理でも、大体のご意見をお伺いすることはできませんでしょうか?お忙しいところ、長々と本当に申し訳ありません。どうかよろしくお願いいたします。 」

ご返信としては「写真をお送りいただければ可能な限りの助言を行いますが実際の診察と異なり限界があるため正確な判断はできません」 となります。 お苦しいかと思いますがどうか通院に便利な良医をお近くでお見つけになられ現在のお悩みがすこしでも良くなりますようにと願います。どうしてもということでご遠方よりはるばる私をお訪ねになれば私の持ちうる全ての能力を尽くして診させていただきますが処置不可能かもしれません。

この小陰唇縮小手術ですが知人の形成外科専門医に尋ねても「小陰唇縮小手術などやったことない」と言われたりします。 大病院の産婦人科医としてハードな日々を送っている知人の産婦人科専門医にいたっては「え? そんなことする人(患者)がいるの? 」とのリアクションをされ私もびっくりしました。

最近婦人科手術の修正手術ご依頼が多いのですが実際は一般的な病院ではほとんど行われてはおらず簡単そうで実は奥が深い手術だからだと思います。 
解剖学的なanomaly(亜型)には注意が必要です。

私がアドバイスとして申し上げることができることといえば「「専門医商法」「経歴商法」にだまされないように。 」 ということです。 喧伝しなくても紹介や口コミで患者さんはいらっしゃいます。 できる医者ほどそんなものを喧伝していません。 

山口大学教授の柴田二郎先生は著書「医者のホンネ」という本で「専門医制度は医の堕落である」と看破されていました(柴田先生はその信条で専門医の取得をボイコットされています)。医者同士におけるお互いのアイデンティティー確認ぐらいの意味しかもたないはずの専門医の肩書きが医療法でも広告可能になりまさにアメリカ型の専門医商法が日本を侵食しつつあります。 

経歴に至っては医療法第2節第6条の5にて広告許可事項に含まれていないにも関わらず多くの医院でインターネットにおける法制度の不備をついて広告事項となっています。

雑誌広告においては「取材」という形態を用いて多くの宣伝広告がなされていて実際の医療法の精神が骨抜きとされています。

以前、雑誌社から「取材させていただきたいのですが」とご連絡がきて「ぬー 自分もそんな身分になったのかのう?」 といぶかしがりましたら、あっさり「取材形態の有料広告です。」とのことでズッコケました。  自分もそのような営業をうけるまでDr対談系記事の裏のカラクリをしりませんでした。

医療法の精神を骨抜きにする行為が野放しになり営利目的で「患者を釣る」ことがなされているのは嘆かわしいと思います。

来年は日本がよりよくなりますように!

お心遣いをいただきました。
小陰唇縮小手術_d0092965_1564665.jpg

マシュマロでした。 ありがとうございます。 どうか御気を遣わないで下さい。


追記:本患者さんの手術結果は2011年4月16日の記事に記載させていただきました。(2011.04.16追記)
by shirayuribeauty | 2007-12-28 00:22 | 美容外科
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