万波(まんなみ)医師に思う
マスコミ各社の報道で有名な宇和島徳州会病院の万波(まんなみ)医師が行った一連の病腎移植に対して検証のための専門委員会が2月18日に調査委員会に出した報告書は「倫理的にも科学的にも許されない」、病腎の摘出も「移植目的の手術で全症例が不適切」と全面否定的なものでした。
いわば学会、マスコミからボッコボコに叩かれた万波医師ですが、私の個人的評価は学会、マスコミと異なります。 たしかに学会という多数者のルールに則っていなかった万波医師ですが私の目には名誉欲などもたず患者のために必死にやってきた医師とうつっていました。
そのような思いを抱いていた先日、日本病理学会理事の堤寛・藤田保健衛生大医学部教授の「良心の手紙」(病腎移植の再開を求める活動をしている岡山市の弁護士に宛てたもの)についての記事を読みました。
堤教授は専門委員会の一名で調査を進めるうちに万波医師の患者に向かう姿勢に深い共感をおぼえ、患者さんの経済状態を考慮し、最小限の検査で診療したことも痛いほどわかり「彼にもう少し欲があれば、科学的志向性が強ければまったく違う展開になったでしょう。残念です。それがあの人の人となりなのでしょう」と述べられています。 堤教授は専門委の討議の場でもそのような考えを力説したようですが報告書には盛り込まれず翌日の新聞では「全員一致で全症例が否定された」と報道されました。 「はじめから結論ありきという雰囲気の検証作業であった。」と堤教授は振り返っており、この堤教授に関する一連の記事を読みまさに約60年前の極東軍事裁判におけるパール判事の存在が思い出されました。
万波医師は確かに日本の移植医療のルールを無視したかもしれませんが堤教授の「患者さんのためだけを思い、名誉欲などみじんもない医者をいじめてどうするのか」という思いはマスコミや学会関係者は受け止めて欲しいと思います。
今日は鼻尖縮小術、小鼻縮小術、プロテーゼ隆鼻術をお受けになられた患者さんのご紹介です。
上段:術前です。
下段:術後一週間再診時です。(写真は患者さんの快諾を得て供覧しています)
鼻尖縮小術はクローズ法で行い、鼻翼軟骨の一部は鼻尖先端部に移植しています。
小鼻の脇の傷の治りがいまひとつだったので要経過観察です。
メイヨー兄弟の格言
Charles・H・Mayo
32.個人の衛生と、遺伝的体質の改善は、次の世代の人の健康の基本となるでしょう。
William・J・Mayo
32.医師の職業は、すべての職業のうちで最良、かつもっとも希望にあふれた職業です。