私は美容外科手術で婦人科の手術の御依頼を受ける事が多いのですが時々患者さんの中に小陰唇の内側にできているブツブツを何かの病気ではないかとご心配されている方がいらっしゃるので今回はそれについてお話します。
よくブツブツができていると思い浮かぶのは「コンジローマ」という性病ですが生理的にブツブツができている場合も非常に多いです。 膣前庭部(膣の入り口)や小陰唇にできる生理的ツブツブを
膣前庭乳頭症(vestibular papillae of the vulva) といいます。これは性病ではありません。
男性にも同様のブツブツが亀頭周辺にありこれは
真珠様陰茎小丘疹(pearly penile papules)と呼びますがこれの女性に相当するのが
膣前庭乳頭症(vestibular papillae of the vulva)になります。
よく男性の真珠様陰茎小丘疹が
フォアダイス(fordyse)と間違って呼ばれたりしますが
真珠様陰茎小丘疹(pearly penile papules)と
フォアダイス(fordyse)は異なります。前者は亀頭直下部分にでき後者は陰茎皮膚部分にできます。フォアダイスは毛根の周囲にあるはずの脂腺がたまたまブツブツ様に存在したものです。
真珠様陰茎小丘疹(pearly penile papules)も
フォアダイス(fordyse)もどちらも生理的現象であり問題ありません。
問題なのは
膣前庭乳頭症(vestibular papillae of the vulva)にしろ
真珠様陰茎小丘疹(pearly penile papules)にしろ
フォアダイス(fordyse)にしろ「
コンジローマ」の診断の元に治療をする医師がいることです。ただの誤診はかわいいものですが(患者さんにとってはたまらないですが)中には確信犯の医師もいます。
問題となる
尖圭コンジローマの特徴は
●増殖し続ける
●外見以外は自覚症状はない
●大きさは大小不同でバラバラ
●非対称性に発生
●表面の色は正常皮膚色と異なる
という点があげられます。 これに対して
膣前庭乳頭症(vestibular papillae of the vulva)は
【特徴】
●生理周期によって大きさや数に変化がみられることあるがひたすら増殖ということはない
●痛みやかゆみがある場合がある
●大きさはほぼ均一
●膣口周囲から小陰唇内側にかけてほぼ対称性に多発・密集して存在
●直径1mm前後、長さ2~3mm程度の糸状乳頭様の形で表面の色は正常
となります。
具体例として写真を供覧します(写真は患者さんの快諾を得て供覧しています)
これは大きさがほぼ均一でほぼ対称性に多発・密集して存在し糸状乳頭様の形で表面の色は正常であるため
膣前庭乳頭症(vestibular papillae of the vulva) と診断できます。
気になる場合は簡単にレーザーや電気メスで焼却除去できますが生理周期によりまた発生したりする場合もありますからあまり気になさらないのが一番かと思います。