昨日、今日と奈良県で開催された第33回日本マイクロサージャリー学会に行ってきました。
マイクロサージャリーとは顕微鏡下に行う手術であり、学会の前身である研究会第1回は32年前に奈良県立医科大学整形外科の玉井先生が会長として開催されました。
その後代々整形外科と形成外科の教授が交代で会長を務めている整形外科と形成外科のhybridな学会です。
学会の講演で特に盛況だったのはマスコミにおいても有名な公仁会大和成和病院心臓病センターの心臓外科医である南淵 明宏先生の「手術のうまい下手」という講演でした。
大学病院の教授らが多数参加している学会上のおいて「日本の医療制度の諸悪の根源は大学病院の研究至上主義および権威主義。 日本の医療の発展のために大学病院は明日からでも医療行為を即刻停止していただきたい。 現在の専門医制度は外科医としての能力を示す制度では全くないのだから意味なし。教授達よ 現場の第一線の臨床医をなめるな! 」 との内容の講演は聞いているほうにはあまりにもスリリングでした。
もちろんそのような過激な表現は南淵先生なりのレトリックでありましょう。
しかし南淵先生のいわんとしていることはよくわかります。
日本の医師社会は学術?活動に重きを置き実際に歴然と存在する外科医の手術の巧拙は事実上無視されてきました。
彼は心臓外科領域における手術技能の可視化、概念化、評価の方法を工夫し若手医師の養成のためコンテスト形式のチャレンジャーズライブ(実際その場で縫合等をして技巧を競い合う会)を開催するなど真の手術技能の向上を目指す医師達と積極的な活動をしています。
美容外科領域ではそのような事は夢のまた夢でしょうか・・・
マイクロサージャリー学会では整形外科や形成外科が科の枠組みを超えて活発な発表、議論、技術講習会等行っているのに対し美容外科学会では形成系と十仁系にわかれてしかも学会の参加は許可制(自分達にとって都合が悪いと判断する医師は入場させない)をとっており技術講習会などもありません。
また美容外科手術は癌に対する手術や心臓外科の手術のように死亡率等の数字で評価ができません。 数字で評価するとしたら唯一数字化されている「売り上げ」で評価されてしまうことになります。
そこが美容外科界の問題の根っこがあると思います。
現在の美容外科において売り上げは技術力とはあまり相関関係はありません。
もちろんそう(売り上げ≒技術力)主張する先生もおられるでしょうが私はそうは思いません。
えてして技術がある職人肌の先生は宣伝を「品がない」としたがりません。
しかし美容外科は商業ベースであることを割り切っている先生は儲けたもん勝ちと考えていますからバンバン広告をします(医療法では広告は禁止されていますから隅っこに小さく「取材」とか「ビデオパッケージ説明文」とか書かれいます)
個人的には「巧言令色鮮し仁」ではないかと思いますが患者さんがいて色々ニーズを言われてこそ技術もそれにあわせて精錬されていくので一概に患者さんに目をとめてもらうようにすることを全て否定するわけにもいきません。
奈良は公園に鹿がたくさんいてのどかな雰囲気でとても良かったです。
今回は時間がなく春日大社にいけなかったのが残念でした。
今度奈良に行くときは春日大社にお参りしたいと思います。