整形外科、形成外科、美容外科 ・・・・一般の人にはどれも似たようなもので区別がつかないと思います。 実は医者でも結構ごっちゃにしています。
整形外科は主に運動器(骨や筋肉や関節)の機能改善を目的とする科です。
形成外科は主に損なわれた形態の再獲得を目的とする科です。
美容外科は主に正常の形態からより美しい形態へ変化させる科です。
日本において歴史的には形成外科は整形外科より分科し、美容外科は主に戦前より十仁病院が日本の美容外科の臨床のほとんどをになっていました。しかし30年近く前までは美容外科は独立標榜科としては法的に認められておらず当時の十仁病院の梅澤院長が医師会会長の武見会長に働きかけ和53年10月の臨時国会でようやく独立標榜科として認められた比較的新しい診療科です。 従って整形外科や形成外科の分科として誕生したのではなくてまったくの独立した新生児として誕生した科でした。 しかし臨床領域が形成外科と一部オーバーラップし、形成外科の天下り先(形成外科医が開業すると仕事としてあまり形成外科の仕事がないのが現実です)として美容外科領域を確保する必要のあった一部の形成外科医が美容外科は形成外科の一分野であると主張し現在は大学においても形成外科教室の一部の医員が美容外科に従事する形態となり実質上は形成外科の植民地科のような状況になっています。
もともと美容外科は民間より発祥しアカデミズムよりも商業主義を優先してきたため独立性が保てず現在のような状態になったと思えます。
しかし戦前より蓄積されてきた美容外科の技術はやはり形成外科における美容外科と約30年分の歴史の差があります。
昔の十仁病院は就職すると医師免許の提出を求められ他でアルバイトができないようにされ技術漏洩がされないようになっていました。
ここで「ん?」 と思われた読者の方もいるかもしれません。
そうです。 他の科と美容外科の大きな相違点は美容外科の重要ポイントが商業主義にあるため他の科と違って技術が公開されないのです。他の科は患者さんの救命やよりよいQOL(生活の質)を目指して医師が技術や知識を公開しあいます。 しかし美容外科はそうではありません。
美容外科では技術の漏洩が自分の所得の減少につながります。例えば今でこそ埋没二重が2万円台で受ける事ができますが10年以上前は20万円以上が普通の相場でした。 物価のインフレ率を考えると相当高額でありました。
商業主義的な性質が強いため美容外科は人々を幸福にする「幸福の医療」にも関わらず他科の医師達からは白い目でみられる傾向にあります。
十仁美容外科が築いてきた技術・・・・・ その技術の数少ない継承者の一人が現在の私の美容外科道の師匠になります。
何故整形外科専門医である私が美容外科道の道に入ったかまた後日記載したいと思います。