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外国における膣注入物(フィラー)による合併症のレポート
本日ご紹介の患者さんは韓国で膣にコラーゲンを注射して 重篤な感染症になられた患者さんです。

患者さんの許諾を得てメールを紹介させていただきます。  

先日以下のメールをいただきました。



「先日韓国に行きまして、膣にフィラーを入れたのですが、激痛で歩くのも寝るのも座るのも痛い状況で😢

診て欲しいんですけど…😢近々」


患者さんが施術した韓国の先生に連絡したところ「抗生物質を」 ということだったとのことでしたので総合病院での治療をお勧めしましたが、他部位を当院で施術をお受けになられたご既往があり、当院での治療を強くご希望してくださいました。  しかし症状が強いためとにかく総合病院を受診してほしいとのことでごご納得され総合病院をご受診されました。
その結果 CT上骨盤内膿瘍の状態となっているとのことで緊急入院を担当医に指示されましたが、韓国の美容外科での手術と告げたせいか担当医が非常に冷淡だったのとご家庭の事情でどうしても入院はできず、入院はしたくないとお話ししたところ「入院しなければ治療はしない」と言われたとのことで当院を受診されました。

当院での診察上 膣と肛門の間に膿瘍の存在を疑い 一刻も早く設備の整った総合病院に入院し排膿処置、抗生物質の投与治療の必要性を強くご説得させていただきましたが、とにかく入院はできないとのことで当院で抗生剤の点滴治療をお受けになられご帰宅さました。


翌日以下のご連絡をくださいました。

「こんばんは

痛み止めが切れると痛過ぎるのでやっぱり入院しようかと思います😭
子供が3人もいますので迷って振り回してしまってごめんなさい。

心身共に疲れと痛みで通い点滴心折れてしまいました。明日にでも紹介状貰えませんでしょうか…😖


すぐに通えなくなり振り回す形になり申し訳なかったです😖
大学病院には今日も含め3回通っています。造影ct、MRI、血液検査、尿検査をして、行くたびに注射で腫れてる部分に直接刺し、抜きました。
1回目12cc、2回目も12ccと、膿のような?血液のような、コラーゲンのようなものが抜けました。
注射で抜いたのと抗生物質(フラジール、アモキシシリン)を飲んで、効果出たのか、ほぼ、痛くなくなりました。
それまではロキソニンもまったく効かなくなり、ボルタレン座薬するほどの激痛だったんですが。
今日3回目診察で、まだ少し痛い部分に膣内部から注射を刺しましたが、何も抜けなかったそうです。
昨日、病院からの連絡では入院の準備できて欲しいと言われましたが、今日の血液検査の結果、炎症数値が物凄く下がっているので、経過観察になりました。
この炎症の原因の菌が分かったのですが、プレボテラという、口内の菌らしいです。産婦人科では見ない菌だという事でかなり気持ち悪いです…。
韓国の院内は綺麗でしたが、眠る前に先生はマスクしていなかったのを思い出しました。
一応報告しておきますね。

ひとまずは良くなられたとのことで安心しました。」
最近日本国内でも高額な費用で一度に何十ccも膣にヒアルロン酸をいれて何件も壊死を生じさせている医師の話題を学会で耳にしました。
また私の患者さんでも他院で何十万ものヒアルロン酸注入を勧められた方がおり 注意喚起が必要だと考え患者さんにご承諾いただき今回のメールを紹介させていただきました。

膣へのフィラーは以下の点で要注意です。

1.本記事で紹介した患者さんがお受けになられたコラーゲンは 問題が起きた時に分解酵素で分解できないので要注意です。
  肛門に近い膣に大量にいれるべきではありません。 最悪の場合 肛門膣瘻が形成されてしまい、それを治癒させるのに一時的に人工肛門が必要になる場合があります。
2.外国での治療はどんな物質をどれだけ注入したのかも不明であり かつ問題が生じたときに担当医にコンタクトがとりづらく、日本の医師も責任問題もからむからか外国での治療の合併症治療をいやがる場合が多い。
3.ヒアルロン酸でも一度に大量の注入は壊死の合併症を起こす危険性があり、 また 膣壁は静脈叢が豊富であるため静脈内に迷入したヒアルロン酸が肺まで飛び肺塞栓症を生じさせる可能性がある。


合併症を可能な限り減らすためにも 1回のヒアルロン酸は10cc程度までに止め、膣縮小のレーザーとの併用がよいと考えます。
当院ではこの方法で多くの方々が満足のいく結果を得られています。




by shirayuribeauty | 2018-12-04 23:31 | 美容外科
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