本日ご紹介の患者さんは当院初診御来院2年前(今から約8~9年前)に他院で約80万円ほどかけてI型鼻プロテーゼ、耳からの鼻先軟骨移植術をお受けになられたという患者さんです。 某学会の専門医を宣伝表示されているクリニックとのことでした。
鼻先が白く浮き上がり凸状に目立つ状態の当院での修正術を希望されておりましたがまずは前医にての加療を強く勧めました。
ところが前医にいくと治療としては「今日はヒアルロン酸をいれる。 後日耳の軟骨をいれる修正手術をする。費用は30万円かかる。」といわれたとのことで再度私による修正手術を強く御希望されたためお引き受けすることとしました。
鼻先が白く透けかかっている状態というのはいつなんどき皮膚が破れて醜状痕を残すかわからないためそうなる可能性も十分御納得いただき修正手術を開始しました。
また、軟骨移植で皮膚がうすくなってしまっている以上再度耳軟骨を用いても状態を改善できる可能性は低いため、鼻先には軟部組織移植をおこなうこととしました。 幸い婦人科手術を同時に希望されていたため同部位の組織を利用することとし体の他の部位にキズをつけなくて済みました。
婦人科手術終了後鼻先移植用組織塊を作成し、鼻先の手術に取り組みました。
慎重に鼻先の軟骨を除去するべく少しずつ除去に努めて手術操作をしたところ・・・・術中に出てきたのはL型プロテーゼの脚でした・・・・。
移植軟骨が飛び出しそうにみえていた鼻先は実はL型プロテーゼの頭が飛び出しそうになっていたのでした。
患者さんに「L型プロテーゼが入っていましたが・・・」と伝えると「絶対そんなことない! 前医で手術が終わったら確かに耳にキズがついていたし、I型プロテーゼをいれるって聞いた!」とのことでした。
しかしどう探しても移植した軟骨はみつからず 鼻先に飛び出そうになっていた物体はL型プロテーゼの頭でした。
上段:術前です
下段:術後約5年半再診時です
経過はご満足と順調な経過です。 定期的に検診を受けに来てくださっています。
あの時 なぜご本人がI型プロテーゼが入っているとおもっていらっしゃっていて実際にはL型プロテーゼが入っていたのであろう・・・ と時々ふと考えたりしていました。
可能性として
1.患者さんがそもそも受けた手術内容の勘違いをしている。 受けた手術内容はL型プロテーゼ留置術だけであった。
2.前医は確かに耳軟骨を入れたがなぜか吸収されてしまった。 プロテーゼの違いについて患者さんの勘違い。
3.前医は耳軟骨をいれようと耳にメスをいれて軟骨採取をし、組織塊を作成したが間違えて床に落としてしまい使えなくなってしまったためやむなくI型プロテーゼ留置の予定をL型プロテーゼに緊急変更し手術を終えた。 術中アクシデントの件を患者さんに意図的に伝えなかったか伝え忘れた。
etc..
いろいろな可能性がありますが第3者の私には全く真相はわかりません。
ただ・・・・・ また
同じドクターの執刀後の患者さんで同様の ことをおっしゃる方が最近現れたことに 私は 再び驚愕したのです。(続く) 先日お心遣いをいただきました。
ありがとうございます。 どうか御気を遣わないでください。