今日は1942年のフロリダ諸島の戦いにて日本軍が玉砕し約1000名 の命がツラギ島、ガブツ島、タナンボゴ島、フロリダ島 にて散りました。
2016年 本日 「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」 が放送されました。 天皇陛下のお考えを聞き 血気盛んであった自分もいつまでも若くはなく、いつ現世との別れがくるかも知れぬことを自覚し、自分が経験したことを後世の何らかの役に立てばとふと思い立ったので書き留めておこうと思います。 今回は 自分の専門学部の選択から医学部卒後数年あたりまでのことについてを書きます。 よく 「なんで医学部を卒業してからChiropractic(カイロプラクティック)の大学にいったのですか?」 とか 「そこではどんな勉強だったのですか?」 等 聞かれるのでその内容もここに記載しておきます。 Chiropractic それは10代の当時の私にとってとっても不思議な医療でした。 中学生、高校生と格技が好きだった私はしばしば練習で体の各所を痛めては東京渋谷の某Chiropractic治療院にて治療してもらい爽快な状態を得ていました。 武術は人を痛める技術だが Chiropracticのような技術はメスや薬も使わず人をより健康にする技術でそちらのほうがすごいし人の役に立つ! と思った自分はChiropracticが日本で学ぶには公的な学校がなく米国にいかないと公的な資格はなくきちんとした教育をうけれないと知った時はややがっかりしましたが周囲の「まず日本の医学部にいってみて人体に対する理解を深めそれでも勉強したければ卒業してからいってみれば?」との提案に納得し日本の医学部にまずは進学することとしました。 しかし進学指導もない高校に在学し、大きな予備校にも通っていなかった自分は随分呑気な高校生活を送っていました。 受験の時期になり授業料が無料どころか給与がでるという噂の防衛医科大学を受けようとし本屋に過去問題集である赤本を買いに行ったときすでに受験日が過ぎていた時の衝撃は忘れられません。 その衝撃を基に11月から死にもの狂いで勉強して当時自分の住んでいる住居から片道90分以内の通学時間で一番学費の安い横浜市立大学医学部( 当時 年間学費33万円)を発見し、他大は一切受けず専願し受験したら奇跡的に合格させていただくことができ進学しました。 地域公立大学である故か 進学後 その年度は都内在住、都内高校出身である医学部現役合格者は自分だけだったことを知り自分のような呑気な事前リサーチ不足の人間でよく合格できたとその時の強運に驚いたと同時に入学を許可してくださった大学にただひたすら深謝しました。 私の夢はいずれ勉強や研鑽が落ち着いたら横浜市で医療人として恩返しのご奉仕をさせていただく機会を得ることです。 医学部の6年間は拳法部の主将も務めさせていただき自分なりに文武両道を両立させるべく無我夢中で日々を送らさせていただきました。 医学部6年生になってもやはりChiropractic がいかなるものか、 脊椎徒手手技療法で側弯症が治せるのか? だとしたら本当にすごい! と思い卒後の留学にむけて準備をしていました。 幸い世界で最初のchiropracticの学校であるPalmer college of chiropractic からinternational scholarship付で合格通知をいただくことができました。 Chiropractic大学は7月からの入学からでしたが少しでも医療現場を経験しておこうと医学部卒業後は母校の大学附属病院研修医となり 部室に寝泊まりして研修医生活を始めました(いつか後述しますが この時期の経験が実はその後20年の人生を大きく変えることとなりました)。 米国留学後はcolloquial languageがわからず正直 地獄の日々でした。 留学前に要求されていたTOEFL scoreはパスしていましたが所詮付け焼刃程度の英語力であったことをいやというほど思い知らされました。 テストの場所や時間すら聞き取れず苦しい思いを大変しました。 あまりの辛さに早く卒業したくて死にもの狂いで勉強したせいかアメリカ人学生がたくさん落第するクラスで異常に良い成績でPASSし優秀と感違いされProfessorに色々話しかけられ困り果てました。 ふつうは語学学校でしばらく勉強してから入学してくると知ったのは入学してからであり後の祭りでした。 「赤ちゃんみたいに言葉のシャワーを浴びれば習得できるかもしれない」と非科学的な妄想を経て連日 The Simpsons をテレビにかじりついて見続けるも一向に理解できるようにならずしまいにはストレスで口の中にいくつもの口内炎が発生し、今度はその痛みで食事が満足にとれないという悪循環にはまりだしました。 「 ガダルカナルの日本兵はもっと辛かったに違いない」と自分に言い聞かせ、クラスメイトの米国人には「図書館に住んでいるのか?」と言われるほど図書館に通い詰め勉強しました。 途中日本に帰る用事ができ一年以上ぶりにChicagoのかつてのヤオハンで日本食のうどんを口にしたときは滂沱の涙がでました。 大東亜戦争で戦ったり、その影響で何年も日本の土を踏めずにいたかつての日本人の方々の気持ちを察するに余りあるものがあることを体感しました。 当時のPalmer 大学には幸い test out というシステムがあり通常約4年(10 trimester)のコースを飛び級で約2年で卒業することができました。 当時の日本の高校や大学には飛び級という制度がありませんでしたので米国大学のこの制度には関心するとともに感謝しました。 米国のchiropractic は National Board(国家試験)がPart Ⅰ~Ⅳまであり 州によってはこの四つの国家試験をパスしてかつ州の開業試験をパスして最終的にライセンスが与えられるシステムでした。 2年4か月の間に 飛び級進級しつつ このNational Board(国家試験)をパート1~4まですべて合格し、自分の場合はハワイ州の開業試験をうけて合格しました。 親しくなった米国人クラスメイトには「nerd」と笑われ「ITOは図書館に住んでいる」と軽口を叩かれましたが当時は無我夢中でした。 ここで話が脇道にそれますが、日本の公立医学部(横浜市立大学医学部)、 米国の私立大学(Palmer college of chiropractic)、 日本の国立歯学部(東京医科歯科大学) の三つの大学で教育をうけた一個人として医学教育に対する論評をさせていただきます。 テストが多ければ優秀か? 社会に質を担保した人材を供給できるか? は別問題だとは思います。 自分の経験では科学的思考能力を一番養成してくれたのは日本の横浜市立大学医学部でした。 教育システムや国家試験システムが整っているなぁと感心のは米国のPalmer college of chiropractic や 米国のNational Board(国家試験) system でした。 ただし学期毎の単位修得に忙しく、一年を通じて深い思考力を養成する教育体系をとっていない印象でした。 日本の国立大学歯学部はこれら2大学の中間に位置する印象です。 解剖実習は 医学部、カイロプラクティック大学、歯学部 と3大学の教育を経験した結果それぞれの大学での特色がありました。 全般的には医学部の解剖がやはりみっちりと深く学ぶことができたと思います。 chiropactic大学では脊椎の解剖が特に厳しく、 試験前には目をつぶって骨を触るだけで「これは頸椎の6番!」とか 「これは腰椎の1番!」とかわかるまでになりました。 ただ全身の系統解剖をメスを用いて行っていくわけではなく、あらかじめ解剖されているご遺体を用いての解剖学実習でした。 歯学部でも医学部と同様のメスを用いての全身の系統解剖でしたが内臓諸臓器や筋骨格系に関しては医学部ほど深く細かい知識を習得させる講義や実習内容ではありませんした。 しかし歯に関しては医学部やカイロプラクティック大学とは比較にならないほど詳しく学び、見ただけで上顎、下顎の何番の歯とわかるようになりました。 顎顔面領域に関しても歯学部では前2大学よりは深く学ぶことができました。 結果として膨大な時間の解剖学教育を受けさせていただくことができました。 外科医としての今の自分があるのはこの三大学での解剖学実習が多大に貢献してくれていると思います。 話を本題に戻します。 米国でお会いしたドクターは M.D.(医師)であれ、D.C.(ドクターオブカイロプラクティック)であれ皆プール付の邸宅に住んでおり人生をエンジョイされていましたが、質素な生活が好きな自分の目にはvanityとうつり、アメリカ人、アメリカ社会のために一生懸命働くmotivationが最後まで湧かず、また一通りchiropracticを学んだ上でM.D.的側面からより脊椎を探求していこうと考え1999年に帰国し東京の聖路加国際病院の整形外科の研究生として採用していただき研修を始めました。 聖路加国際病院で研修を開始してしばらくして夜間 病院の2階のトイレの前で倒れている女性がいました。 所見をとっても重大な状態なのか否かが判断できなかった自分が思わず口走ったのは「医者を呼ばないと」でした。 自分が医者であったにも関わらず・・・ 人を呼び救急部に運んだのち、私と同じ医学部卒業年度の医師がテキパキと診断、治療をしていく姿を見て「2年間の研修でこんなに差がついてしまうとは」と衝撃を覚えました。 その衝撃が元となり他科研修、救急当直等を自分の体力の限界までやるように心がけました。 9.11事件の時も聖路加国際病院の救急部の当直室でそのニュース映像を見てすごい時代に突入したな・・と実感したのをつい昨日のように思い出されます。 chiropracticの話に戻ります。 Chiropractic は 美容外科手術と違い 結果が目でみてわかるものではないせいか私の治療を受けに来てくださる方は美容外科手術の患者さんと比べて圧倒的に少ないです。 しかし 人体の持つinnate intelligence を信じ、背骨の定期的なメンテナンスを通じ 健康を保っていかれたい方は是非ご相談くだされば幸いです。 Chiropractic(カイロプラクティック)を学ばれたい方へ 全員がそうする必要はありませんが本当に正しい医療を患者さんに施して差し上げたいという気概があればやはり医学部で人体に対する深い理解を深めてから米国のDoctor of Chiropractic 大学で学ぶ、もしくはその逆の順序でも構いませんので両方の教育を受けてほしいと思います。 見えてなかったものが見えてくると思います。
by shirayuribeauty
| 2016-08-08 23:04
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