本日ご紹介の患者さんは下顎骨のVライン形成希望にて他院にカウンセリングにいったところ矢状分割手術(SSROまたはSSM)を勧められ同手術をお受けになられたという患者さんです。
術前矯正や術後矯正等なしで下顎矢状分割術(SSROまたはSSM)をお受けになられたとのことでした。
私は歯科医師でもあるので歯科医師の観点からもともと噛めている人が歯科矯正なしで下顎矢状分割術のみをうけてもいずれ元に戻ってしまうと考えていますので「????」 (そんな手術があり得るのかな!?)と思い 患者さんに「効果はあったのですか?」 とお聞きしたところ 患者さん曰く「元々切端咬合だったのが手術直後は正常咬合みたいになったが元にほぼもどった。正中もずれてきた。左エラ部分に段差ができたのが気になる。 全然Vラインにならなかった。」とのことでした。
矯正装具をつけていると歯が動いてきて術者が決めた骨の位置に適合するように歯が動いていくことはありますが、歯科矯正しない状態で顎骨を動かしても逆に歯の咬む位置に骨が動いてきてしまいます。 これはチタンのプレートが折れてしまったりするぐらいの強い力が働きます。 それだけ咬合の影響とはすごいものですし 前医は学会等で著明な医師でしたが歯科医師ではない以上咬みあわせの影響力をご存知でなかったか軽視されていたのかもしれません。
プレートの抜去もご希望されていたため前医でのプレートやスクリュー抜去、およびVライン形成術をお受けになられることを強くお勧めしましたが当院での手術を熱望されたため御依頼をお引き受けしました。
手術としては他院下顎矢状分割術後プレート&スクリュー除去および Vライン形成術(スティック骨切り術+下顎骨外板切除術)を行うこととしました。
上段:術前です。
下段:術後約3か月再診時です。

下顎骨もVライン形成され順調な経過です。 と言いたいところですが術後半年後再診にはいらしておらず最終診察より半年以上御無沙汰しております。
便りがないのはよい便りと信じたいですが定期的な検診は重要です。
またの御再診をお待ちしております。
患者さんのためには咬合が関与する骨切り手術は歯科医師が行うか歯科医師が介入してなされるべきであると思います。
先日お心遣いをいただきました。

ありがとうございます。 どうか御気を遣わないでください。