本日ご紹介の患者さんは当院御来院2年前に他院で約80万円ほどかけてI型鼻プロテーゼ、耳からの鼻先軟骨移植術をお受けになられたという患者さんです。 某学会の専門医を宣伝表示されているクリニックとのことでした。
鼻先が白く浮き上がり凸状に目立つ状態の当院での修正術を希望されておりましたがまずは前医にての加療を強く勧めました。
ところが前医にいくと治療としては「今日はヒアルロン酸をいれる。 後日耳の軟骨をいれる修正手術をする。費用は30万円かかる。」といわれたとのことで再度私による修正手術を強く御希望されたためお引き受けすることとしました。
鼻先が白く透けかかっている状態というのはいつなんどき皮膚が破れて醜状痕を残すかわからないためそうなる可能性も十分御納得いただき修正手術を開始しました。
また、軟骨移植で皮膚がうすくなってしまっている以上再度耳軟骨を用いても状態を改善できる可能性は低いため、鼻先には軟部組織移植をおこなうこととしました。 幸い婦人科手術を同時に希望されていたため同部位の組織を利用することとし体の他の部位にキズをつけなくて済みました。
婦人科手術終了後鼻先移植用組織塊を作成し、鼻先の手術に取り組みました。
術前はI型プロテーゼ+軟骨と聞いていたのでそのつもりで軟骨除去を試みるべく慎重に手術操作をしていたらなぜかL型プロテーゼの脚が出てきて鼻先に移植されたという軟骨は見つけることはできませんでした。
結果としてL型プロテーゼの脚と頭部を除去しました。
上段:術前です。
下段:他院鼻尖部軟骨移植術術後 小陰唇組織を用いての鼻先修正術術後約3年10か月再診時です。
前回再診時も順調でしたが今回再診時も順調です。
御感想は「満足(5/5)」と順調な経過です。
この方は幸い予後良好ですが 軟骨が透けた鼻尖部の修正の予後は不確定要素が多く菲薄化した皮膚が確実に治せると私は断言できません。
手術操作により血行動態が傷つくことにより皮膚が栄養不良になり皮膚が薄くなったりして稀ですが術後数か月して再透見するリスクもあり得ます。
なにぶん長期的経過観察が必要な部位になりますので定期的な検診をきちんとおうけになることをお勧めします。
先日お心遣いをいただきました。
ありがとうございます。 どうか御気を遣わないでください。