本日ご紹介の患者さんは他院にてガミースマイル修正術(粘膜切開法)をお受けになられるも笑うと歯茎が見えかつ手術したキズが見えてしまう状態であり、定期的にボツリヌス毒素を注射しガミースマイルにならないようにしていたが定期的に注射をしなければならないので根本的に解決したいとのご希望にてご相談にいらした患者さんです。「粘膜が丸見えでした。 笑うことに抵抗がありました。上あごが上がりすぎてしまうと思ってました。」とのことでした。
根本的解決法として 局所麻酔下骨切術 + 上唇挙筋部分切除術)でガミースマイルを改善することとしました。 左:術前です。 右:約1週間再診時です。 術前は注意深くみると粘膜の以前の手術の痕がみえてしまいます。 術後はすっかり見えなくなりました。 患者さんの御感想も「鼻の通りがよくなり眠っている時の口呼吸が自然に治っていました。そして歯ぎしりも止まりました。少し痛みはありましたが。ありがとうございます。」とのことで「満足(5/5)」と順調な経過です。 鼻の通りが良くなったのは本手術では鼻腔底を広げるのでそのような作用があったのだと思います。 通常のルフォーⅠ型骨切術によるガミースマイル修正術ですと鼻腔底が狭くなることはあっても通常は広がりませんので特段、歯科矯正も含めて咬合を調整したい、または顔貌を変化させたいという希望がない限りは局所麻酔下による骨切術によるガミースマイル修正術が安全かつ機能的にはよい結果をもたらします。 ガミースマイルの修正法には以下のようなものがあります。 歯にかぶせものをする治療もありますが医学、歯学を修めた医師、歯科医師の自分としては天から授かった最強の防御壁であるエナメル質を虫歯でもないのに削って歯にかぶせ物をする治療や将来の歯周病への罹患をしやすくするような治療は邪道と考え私は行いません。 1. ボツリヌストキシン注射 ボトックスに代表されるようなボツリヌストキシン製剤を上口唇挙筋群に注射してその筋肉の働きを抑える事によってガミースマイルの状態を改善する方法です。効果は約6ヶ月程度です。 2. Litton and Fournier法(リットン アンド フォルニエル法) 多くの美容外科で行われている方法です。 方法としては歯の生えている上縁約4mm上で切開し上唇溝間の粘膜を切除縫合する方法です。 ⇒ 他院でお受けになられた結果、効果がなく粘膜切開部のキズが笑うと見えるようになってしまったという相談をよく受けます。 あまりよい術式とは思えません。 3. Ellenbogen法(エレンボゲン法) 鼻と唇の間にインプラントをいれて唇が上がるのをブロックする方法です。 ⇒ 簡単にできますが上唇挙筋の作用が強い場合プロテーゼが鼻腔内等突出してくる可能性があります。 4. Miskinyar法(ミスキンヤー法) 口の中を切開し上口唇挙筋群を切除して唇を上げられなくする方法です。 ⇒ 眼窩下神経の枝も同時に切られることがあるため痺れがでたり、筋肉の再生による戻りがあり得ます。 5. Le FortⅠ型骨切り法 上顎骨を短縮する方法です。 ⇒ 確実な方法ですが上顎だけLeFort骨切術を行うと下顎がautorotationして前方へ突出してくるため適応を熟慮しないと術後のお顔に対して不満足な結果になる可能性があります。 また鼻腔内の容積を一定に保つために馬蹄形骨切り術を併用しないと術後鼻の通りが悪くなる可能性があります。 6. 上顎骨部分骨切術 ⇒ 超音波メスで上顎骨を局所麻酔下で部分骨切りすることによりより安全にかつ確実にガミースマイル修正術が行えるようになりました。 現在私はこの方法を好んで用いてます。 また鼻腔底を広げる作用もありますので鼻の通りが良くなる可能性があります。 先日お手紙をいただきました。 ありがとうございます。 先日、2年間もの間他院の術後修正を御依頼され(私には修正手術は無理だと考え2年間断り続けていました:他院で太田母斑に対して皮膚移植をされた目の二重幅を狭くする手術依頼になります。皮膚移植された目は通常と異なるので手術をされた形成外科もしくは他の名医の先生にて手術を受けるように再三説得をさせていただきましたが美容外科人形まで作ってくださり手術の御依頼をしてくださいました)最終的に「そこまでして2年もかけて御依頼してくださる患者さんのお役に立つならば」と一生懸命やった手術の結果が最終的には原因不明の痛みが生じるようになった言われ申し訳なく思っておりましたが、術後約3年後の本年にはわいせつ致傷と言われ人間不信になりガックリしていました ので、このような励ましのお手紙をいただくと思わず目頭が熱くなります。 私のような無名の一美容外科医が貴女のお役に立てて幸せです。 ただ恋心に感じたような感覚は手術前の緊張のドキドキ感の「吊り橋効果」によるものでしょう。 一時の「吊り橋効果」に惑わされることなく素敵な人生を歩まれることを願っています。 外科手術は劇的な効果を生みだす反面、予期せぬ合併症を生じる可能性もあり得ます。 先ほど述べた太田母斑の皮膚移植後の二重修正術の方のように私の手術で不幸になっている方もいらっしゃると思います。 誠に申し訳ありません。 いくらリスクを説明してもそれが起こってしまったら医者として無責だとは思っていません。 法的にどこまで外科医は合併症にたいして責任を背負わなければいけないのかは私は法律家ではありませんのでわかりませんが、このカルマは背負ってあの世に旅立ちます。 しかし同時に外科医である以上私を信じて御依頼してくださる方がいらっしゃり理性的、科学的に考えてその方のお役に立てる確率が高いと判断できるのであればメスを握ろうと思います。 私にできる努力はその確率を可能な限り100%に近づけることができるように日々日々勉強し研鑽を積むことだと思います。
by shirayuribeauty
| 2014-07-08 23:53
| 美容外科
|
タグ
鼻(918)
輪郭(774) 若返り(575) 目(556) 脂肪(446) 乳房・乳輪・乳首(405) 婦人科・肛門(247) 美容形成外科後遺症(221) 歯・ガミー・口唇・口角(212) 四肢・尻・脇(174) 額・頭蓋(147) 人中(125) 日本・小話(97) 耳(75) 博士先生(58) 美肌・脱毛・アートメイク(54) へそ・えくぼ(49) バッカル(48) 植毛(まつげ・他)・脱毛・育毛(36) 性同一性障害(33) のど仏・首(5) 手(4) はるか先生(4) ヒアルロン酸(1) カテゴリ
以前の記事
2024年 12月 2024年 09月 2024年 08月 2024年 07月 2024年 06月 2024年 05月 2024年 04月 2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 01月 フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||