本日ご紹介の患者さんは
昨日ご紹介した患者さんです。
咬合正面像です

(患者さんは通常価格でLeFortⅠ型骨切手術をお受けになられましたので掲載写真の供覧を中止します 2014.02.09追記)
上顎の正中と下顎の正中があっていません。骨切手術までして正中があわないのは残念ですが術前からかなり正中偏位があったのかもしれません。
左上顎2番(側切歯)が欠損しています。 患者さん曰く「オペの前に、上前歯2番が一本だけ奥に入っていると上顎を下げられないから抜きます、と言われそうなの?と患者さんはよくわからず了承した」とのことでした(20131113患者さんからのメールに基づき記載内容訂正)私がセットバック手術をする場合はそこの部分は邪魔にはなりませんのでなぜ抜くという判断になったのかわかりません。 意味不明です。
咬合 側面像です

(患者さんは通常価格でLeFortⅠ型骨切手術をお受けになられましたので掲載写真の供覧を中止します 2014.02.09追記)
切端咬合です。 overjet およびoberbiteはゼロです。
見た目はAngleⅢ級様咬合 わかりやすくいえば 下顎前突様 、 アントニオ猪木様 、アイーン様 かみ合わせです。
セットバックで切端咬合にすると、上顎区域骨切り部分が常に咬合で干渉され安定しないため骨癒合が生じにくなる可能性が高くなります。本ケースも上顎前歯は全体としてグラグラとしており術後半年経ても骨癒合が生じていないことが予想されました。
実際にCT上でも癒合していません。プレートでかろうじて上顎に固定されているのみになっています。
ここでポケット探針を提示します。 ポケット探針とは歯周ポケットの深さを測る器具です。

5mmきざみで太いマークがついています。ポケットが4mm以上ある場合は自己管理のみでは歯周ポケット内が掃除できず歯周ポケットの悪化はあれども回復は困難とされています。
左第二小臼歯近心歯肉縁下にポケット探針をいれると・・・

第二小臼歯近心側の歯根は一部露出ししかもその露出した歯根の歯肉縁から測ってなんと15mmも歯周ポケットができてしまっています・・・
右第二小臼歯近心歯肉縁下にポケット探針をいれると・・・

14mmも歯周ポケットができてしまっています・・・
手術のために上下4番(第一小臼歯)を抜いたのはいたし方がないとしても左上顎2番(側切歯)も失い、今後も上顎左右5番(第二小臼歯)も医原性の歯周組織破壊で歯を失うこととなったらあまりにもかわいそうすぎます。
顔貌の悩み、 機能上の悩みを解決して 末永くご自身の歯で食事をおいしく咀嚼し健康的に美しく穏やかに将来を過ごせるようにお手伝いをさせていただければと思います。
上下セットバックのリスク
・希望より口元が下がりすぎた風貌が術後気になる可能性があります。
・通常第一小臼歯を抜歯して後方に下げますが術後犬歯と第二小臼歯間に多少隙間が生じる可能性があります。
その隙間が気になる場合は術後矯正もしくは補綴を要する可能性もあります。
・歯科学的知識がない術者に執刀されると咬合がおかしくなる可能性があります。
・歯科学的知識がない術者に執刀されると骨切り隣接歯の歯根露出、歯槽骨喪失が生じる可能性が高まります。
・手術の際の剥離範囲を必要最小限にしないと区域骨領域が壊死し同部位を修復するのに他部位から骨を移植したり等大変な事態になり得ます。
陳謝: 当記事記載時は 左上顎2番(側切歯)は術中に無断で抜かれたと解釈しておりましたが2013年11月13日にいただいた患者さんからのメールで
「オペの前に、上前歯2番が一本だけ奥に入っていると上顎を下げられないから抜きます、と言われそうなの?とよくわからず了承した。 ・術後歯を見てみたら関係の無い歯が削り倒されていた。」と訂正を患者さんからいただきました。 誤認識に基づき記事を記載したことを深くお詫び申し上げます。