評価される仕事 評価されない仕事
私の好きな歌に村の鍛冶屋があります。

特に二番の
「鐵(てつ)より堅(かた)しとほこれる腕に勝(まさ)りて堅(かた)きは、彼がこころ。」
はぐぐっと胸にくるものがあります。

10年以上も前の私が医学生の頃でした。 BST(Bed Side Teaching:学生の医学臨床実習)にて外科のある指導医がこういいました。
「先代の○○教授は凄かった。 ○大の大学院で基礎研究をして血管外科の学位(博士号)を取った後うちの医学部の外科教授になられて初めてメスを握りうちの医局員に頭をさげて盲腸のオペから教えてもらったんだぞ。えらくなっても実るほど頭を垂れる稲穂かなという諺どおりの人だった。普通教授が頭をさげて盲腸の手術から手ほどきしてもらうなんてできないぞ」 と。

BSTの実習も半ばにはいり医学部の外科系教授の多くが手術があまり得意でなく中には外科系でありながらまったく手術室に入らない教授がいる現実を知っていた自分としては驚くほどのことでもなかったですが、教授=手術がうまいと思って教授に手術を頼み込んだり謝礼金を包んでいる患者さんは不幸だなぁと思いました。

その時反骨魂の塊であった自分はそんなお飾り経歴の医者には将来絶対ならないぞと思いました。

医者の世界では評価される仕事として論文>臨床 が実際あります。
そしてその臨床の中にも評価の序列があります。

多くの人は脳外科や心臓外科と聞くと「かっこいいなぁ、素敵だなぁ」 と思うと思います。
翻って「美容外科」と聞くと「人助けより金儲け,医者の中の落ちこぼれ」等のマイナスイメージが大きいと思います。
医者の中でも「美容外科に○○が転向した。」と話題がでると暗黙のうちに「落武者」のイメージで語られます。 

美容外科の中でもまた序列があります。
リフトとか骨削りの手術ができる医者は上級でプチ整形や包茎手術等しか簡単な手術しかできないのは下級扱いです。

包茎手術を例にとると昔お世話になったある全国展開の美容外科の指導医が非常にexcellentな手術をされるのをみて「先生、すばらしい技術ですね。」と思わず言ったことがあります。  何人もの泌尿器科専門医と一緒に包茎手術を何回も行った事がありその比較の上で思わず出た言葉であり単なるお世辞ではありませんでした。 すると彼はこう言いました「どんなに上手くなっても評価される仕事じゃないから。 何万件もやれば誰でもいやがおうでも上手くなるよ。」

そう。 確かにどんなに手技上うまくてもそれは世間に知られることはないでしょう。
なぜならそんな恥ずかしい箇所の手術の仕上がり等は誰も見せ合いもしませんし論評しあう事もないからです。そして技術が学会ネタになることもありません。 よってどんなに件数をこなそうと技術をもっていても世間でも医者の間でも評価はされません。

彼の「何万件もやれば誰でもいやがおうでも上手くなるよ。」という言葉は誉めたことに対する照れ隠しかも知れません。 しかし、いい加減にしようが熱心に探求して技術を向上させようが「評価されない仕事」に対しexcellentなレベルにまで技術を向上させ淡々と仕事をこなす彼に村の鍛冶屋魂を見たのです。


医者として一生のうち出会える患者さんには限りがあります。
救急疾患と違い医師を時間をかけて選べる美容外科は医師からみるとまさに患者さんが「選んでくれた」わけです。
患者さんとの出会いは一期一会です。 この一期一会の機会を大切にしてどんな些細な手術でも村の鍛冶屋魂にて全力を尽くしていきたいと思います。

今日は胸の脂肪注入の脂肪のUPです。
片方200ccずつ注入しました。 リスクとしては石灰化やしこり形成があり将来乳癌検診の際に困ります。 それでもやはり異物による豊胸術が嫌な方には一つの選択肢となります。
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脂肪細胞がたくさん定着してよりきれいな胸になりますように!
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by shirayuribeauty | 2006-09-29 23:38 | 美容外科
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