歯科医による美容外科手術
本日ご紹介の患者さんは歯科医による美容外科手術として中顔面短縮目的にLeFortⅠ型骨切術と頬骨骨切術、およびエラ骨骨切術をお受けになられた患者さんです。

エラは効果はあったが中顔面短縮目的のLeFortⅠ型骨切術と頬骨骨切術の効果はなかったとのことでした。

立体CT正面像です
d0092965_481845.jpg

確かにLeFortⅠ型骨切術はなされていますが下顎矢状分割術(SSM又はSSRO)は行われていないようです。LeFortⅠ型骨切術のみで中顔面を短縮しようとすると下顎が顎関節を中心としてautorotationしてくるので顎がやや大きく前方にでてきます。したがってもともと顎が引っ込んでいる人ぐらいしかLeFortⅠ型骨切術のみで中顔面短縮の適応にならないと思うのですがこの方はもともと顎は引っ込んでいなかったとのことで術後も顎が出た感じがないということは中顔面短縮量があまりにも少量すぎたのかもしれません。

立体CT斜め前像です 
d0092965_48308.jpg

口腔内からの切開のみで頬骨の張りを減じる手術をうけたとのことですが頬骨弓の関節結節前方が骨切りされていないため頬骨の横幅がまったくといいほど減じられていません。
前側方の効果を求める患者さんに対してならこの術式は適応だったかもしれませんが患者さんとしては正面からみた頬骨の張りを減じたかったということなので術式の適応があまり適切でなかったと思われます。




別件ですが最近ご相談にこられた患者さんがあるクリニックにて鼻中隔延長術を行うも1回目はほとんど効果がなく、二回目の手術を同クリニックの歯科医にを豚の軟骨を使用して受けた結果「変になったので修正したい」とのご希望にて御来院されました。

術前に「歯科医の美容外科手術をうけて大丈夫なのですか?」とクリニックの受付に確認したところ 「『歯科医だが目から下の手術はできる』といわれた。その歯科医師にも確認したが『できる』といわれた。『400件以上鼻の手術の経験がある』といわれた」とのことでした。



結論からいうと。歯科医師の法的守備範囲に該当する「歯科医業」とは咬合構築に関与する行為(補綴、充填、矯正)、歯牙・顎骨・口腔粘膜・舌・口唇・唾液腺・咀嚼筋など下顔面に発生する疾患の治療、全身疾患のうち口腔または下顔面に症状を現す疾患の機能回復訓練、などの行為をいうのであって、咬合構築とは関係ない頬骨の美容外科手術や鼻の美容外科手術は違法行為と考えます。
口唇裂の修正の延長で行う鼻変形修正は口唇の疾患の治療に連続性があるため合法と思いますが美容外科手術で行う鼻中隔延長は明らかに歯科医師の免許範囲を超えています。

『歯科医だが目から下の手術はできる』というのは詭弁です。 利益重視の経営クリニックだと日本では歯科医の方が人件費が安いから歯科医に美容外科手術をやらせているのではないかとうがった見方をしてしまいます。

どちらもチェーン店のクリニックで行われている医療行為であり このような違法行為は早急に改められるべきでしょう。

尚、私は歯科医の能力を否定しているのではありません。 それどころか咬合構築に関する能力ははるかに医師を上回るわけですからLeFortⅠ型骨切術や下顎矢状分割、セットバック等は歯科医が行うまたは関与するべきだと思っています。

また医師(M.D.)、歯科医師(D.D.S)共に基礎医学は共通して学んでいるのですから 卒後2年間の教育によって国家試験受験資格を得て医師が歯科医師にもなれたり、歯科医師が医師になれたりする制度を整えるべきだと思います。  医師不足、歯科医師余剰が日本国内ではマスコミにて書かれていますが新設大学を創らなくてもそのようなルートができれば歯科医師から医師になる先生方も増え医師不足は解消できるでしょうし、歯科医学を修めたい医師も無駄な時間を費やさなくてすみます。 私は歯科医学をrespectし歯科医学を修めるのに医師になってから歯学部の大学に入りなおし(学士入学)4年の大学教育および卒後一年の臨床研修をうけました。 計5年も費やす価値があったのかと言えばその人のものさしによるのでなんともいえませんが私は勉強できて幸せです。 ただ経験してきていえるのは通常の医師や歯科医師にとって新たに5~6年を学業に費やすのはかなりの負担です。 米国のように卒後約2年の教育でD.D.S⇒M.DになったりM.D.⇒D.D.Sになれるシステムがあれば相互の領域を学ぶ医師・歯科医師が増えるでしょうから彼らの医療をうける国民にとっても益すると思います。

全国展開している美容外科はそれなりに資金力もあるでしょうからそのような資金力を歯科医師の脱法行為や違法行為を助長するのに用いるのではなく日本の医療システムを変えるべくそこに資金を善用し日本をより良くするために力を発揮してほしいと思います。


歯科医師の脱法行為や違法行為を黙認または助長しているクリニックおよびそこでそのような医療行為に従事する歯科医師は結果として歯科医師の尊厳を貶め、辱めていると私は認識します。
[PR]
by shirayuribeauty | 2014-01-20 23:05 | 美容外科
<< 他院豊胸バック入れ替え (23... ふくらはぎスリム形成術 (NI... >>