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他院スティック骨切術(Vライン形成術)術後相談
本日ご紹介の患者さんは昨年私のところに「スティック骨切り術」をご希望になられカウンセリングにこられた患者さんです。 手術の適応の有無、リスク等をお話ししました。

以下は当院の電子カルテの其の時の記録の要約です。

「相談)下顎骨を小さくしたい。 (V字カット)

所見)やや下顎骨の発達は良好 ただし おかしい程度ではない。 Drの主観的には決して悪くはない。ご希望の小さい感じにした場合はバランス的に中顔面がやや目立ってくる可能性があります。

改善方法)  スティック骨切術
   リスク) 
1.出血   → 術後の腫脹→ 呼吸困難 → 入院していた場合は緊急挿管 もしくは気管切開
問題点 当院で手術した場合は日帰り手術になります。緊急事態が発生した場合は救急車で救急病院にいってもらわなければなりません。

2.オトガイ神経麻痺 →下口唇周辺がマヒします。 通常は半年~1年で治癒します。
3.挿管全身麻酔→  気道トラブル 全身麻酔の事故の可能性

そもそも立体CTを撮影しないと骨切り量等わかりませんので一度立体CTをお取りになることをお勧めします。骨切量が多い場合は術後のたるみが気になるかもしれません。」


立体CTを撮影してこられて2度目のカウンセリングにて「スティック骨切り術は腫れによる術後の気道閉塞のリスクはどうしてもあり得るから入院施設のあるところでお受けになられるのがベターでしょう。私の施設では今まで骨切術術後の気道閉塞例はまだ一件もありませんが万が一そのような事態になった場合は入院施設はありませんので万が一の時は救急車で救急病院にいってもらうことになります。」とご説明しました。


約半年後にひょっこりカウンセリングにこられたご相談は以下のようなものでした。

なかなかしらゆりさんの予約がとれなかったし入院設備があるところを先生も勧めたので昨年の●●月に他院(●●●クリニック)にてVラインカットをやった。 しかしラインがガタガタになってしまった。 左右差も気になる。 (修正手術は半額で手術するといわれた)   幸い神経のしびれはない。もう少し顎先を短くしたい。 バッカルファットも一緒にとったが頬骨が目立つようになったのがこまっている。


バッカルファット摘出の適応の有無の見極め法はここでは述べませんが適応を誤るとこの患者さんのように頬下がこけてより老けた感じになってしまいます。

確かに以前お会いしたときと比較し頬下が不自然にこけ、肉眼的に左の顎が大きく左右差が目立つので再度立体CTをとってもらいました。


左:他院術前 立体CTです。            右:他院術後立体CTです。
他院スティック骨切術(Vライン形成術)術後相談_d0092965_1374472.jpg

術前と術後で撮影条件が術後の方が顔が上向きになって撮影されているので同じ人には見えませんが同一人物です。 術前は左右均等だった下顎が術後は向かって右側(患者さんにとって左側)の下顎骨が反対側と比較して明らかに大きいのがわかります。


患者さんの悩みとしてはわかるのでどうしてもということで手術のご依頼があればお引き受けしますがまずは前執刀医に相談するのが筋だとお話ししました。 HPで専門医を喧伝されJSAPSでも何度もご発表をされている先生です。無名な私がさしでがましい修正手術を行うよりもよいでしょう。


ご担当された先生へ
差し出がましいようですが半額といわずにこのような明らかな左右差なら麻酔代薬代程度で再手術して差し上げてくだされば幸いです。 ご自身の手術のクセを把握され今後はよりよい医療を患者さんにご提供してくだされば幸いです。



ここで執刀した医師を責める気はありません。 執刀医は最善を尽くすべく努力されたはずであり、また、それぞれの事情があったはずであり、「後医は名医」の格言どおり後医である私が前医の言い分を検証せずに批判することは卑怯ですらあるからです。

ただ手術をお受けになろうと考えていらっしゃる方々には手術を受ける前にリスクを熟慮していただきたいと思います。 安易な宣伝等にのせられてはいけません。 医療行為は必ずなんらかの合併症が生じる危険性がある行為であり安易にメスをいれることは厳に慎むことです。また特に美容外科においては執刀することにより医師に利益がはいるため残念ながら必要ない手術まで勧められる可能性も十分あります。

皆様が宣伝やステルスマーケティングや虚飾の空虚な情報に踊らされることなくよりよい医療をお受けになられることを願っています。
by shirayuribeauty | 2012-06-02 23:21 | 美容外科
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