他院鼻尖部軟骨移植術術後!?  小陰唇組織を用いての鼻先修正術 
本日ご紹介の患者さんは2年前に他院で約80万円ほどかけてI型鼻プロテーゼ、耳からの鼻先軟骨移植術をお受けになられたという患者さんです。 某学会の専門医を宣伝表示されているクリニックとのことでした。

鼻先が白く浮き上がり凸状に目立つ状態の当院での修正術を希望されておりましたがまずは前医にての加療を強く勧めました。
d0092965_1212594.jpg


ところが前医にいくと治療としては「今日はヒアルロン酸をいれる。 後日耳の軟骨をいれる修正手術をする。費用は30万円かかる。」といわれたとのことで再度私による修正手術を強く御希望されたためお引き受けすることとしました。

上段:施術前です。
下段:とびでている部分を赤線で囲みました。
d0092965_1162963.jpg

写真はクリックすると拡大します
鼻先が白く透けかかっている状態というのはいつなんどき皮膚が破れて醜状痕を残すかわからないためそうなる可能性も十分御納得いただき修正手術を開始しました。

また、軟骨移植で皮膚がうすくなってしまっている以上再度耳軟骨を用いても状態を改善できる可能性は低いため、鼻先には軟部組織移植をおこなうこととしました。  幸い婦人科手術を同時に希望されていたため同部位の組織を利用することとし体の他の部位にキズをつけなくて済みました。

婦人科手術終了後鼻先移植用組織塊を作成し、鼻先の手術に取り組みました。

慎重に慎重に剥離をしていきます。

移植された軟骨!?がある当該部位まで剥離が進み移植軟骨を取ろうとして「あれ!?」となりました。

なぜなら移植軟骨はなく、その代わりにL型プロテーゼの頭と脚がでてきたからです。
d0092965_1165315.jpg

追記2011.08):プロテーゼの脚と頭が粉々になっているのは鼻尖部の皮膚が薄くなった直下の物体が患者さんの申告通りI型プロテーゼの先につけられた軟骨と信じていたため特殊な操作で鼻の中で粉々にしたためです。非常に薄くなった皮膚の下の軟骨を引っ張ると自家組織である軟骨と癒着した皮膚が破ける危険性があるため私は軟骨で薄くなった皮膚の下の軟骨に対してこのような術法で処理しています。軟骨が尖っている場合この術式で通常完治します。感染防止の意味もありプロテーゼを一回抜くことはしません。 しかし本件においては細断化施術中の感触から通常の軟骨とは異なるゴム状の感触であったためそっと取り出してみるとL型プロテーゼの頭でした。 プロテーゼの頭を取り出した後はペラペラの今にも破けそうな皮膚が透けて見えていました。 最初からL型プロテーゼの認識の元に抜去した場合は原因となるL型プロテーゼの頭と脚のみを切断除去するためこのような粉々の状態にはなりません。)

移植軟骨が飛び出しそうにみえていた鼻先は実はL型プロテーゼの頭が飛び出しそうになっていたのでした。


患者さんに術中に「L型プロテーゼが入っていましたが・・・」と伝えると「絶対そんなことない! 前医で手術が終わったら確かに耳にキズがついていたし、I型プロテーゼをいれるって聞いた!」とのことでした。

しかしどう探しても移植した軟骨はみつからず 鼻先に飛び出そうになっていた物体はL型プロテーゼの頭でした。

ここで考えられるのは
1.患者さんがそもそも受けた手術内容の勘違いをしている。 受けた手術内容はL型プロテーゼ留置術だけであった。

2.前医は確かに耳軟骨を入れたがなぜか吸収されてしまった。 プロテーゼの違いについて患者さんの勘違い。

3.前医は耳軟骨をいれようと耳にメスをいれて軟骨採取をし、組織塊を作成したが間違えて床に落としてしまい使えなくなってしまったためやむなくI型プロテーゼ留置の予定をL型プロテーゼに緊急変更し手術を終えた。 術中アクシデントの件を患者さんに意図的に伝えなかったか伝え忘れた。

etc..

いろいろな可能性がありますが第3者の私には全く真相はわかりません。
患者さんは「だまされた! 前医を信じて軟骨だから皮膚をつきやぶるはずがないと思っていて修正手術をうけないでいたらプロテーゼがいつか飛び出していたかも知れない。 そもそもL型だと危ないから鼻筋はI型で鼻先は軟骨で形を整えましょうとの話をされて80万近くも払ったのにその危ないといっていたL型をいれていたなんて訴えてやる!」とお怒りでしたが落ち着いて御自身がどのような手術をお受けになるという話で同意書に署名したのかよくみてみるとよいと思います。 意見書を記載してほしいといわれましたがこのブログに記載している以上のことは記載できません。 すなわち「 プロテーゼはL型プロテーゼであった。 鼻先の凸および皮膚の菲薄化(ひはくか)はこのL型プロテーゼの頭によるものであった。 移植したとされる軟骨の存在は認めなかった。」  となります。

「移植した軟骨を私が認めなかった=前医が移植しなかった」
ではありません。  私の探し方が悪かったのかも知れませんし、移植された軟骨が吸収されてしまっていたのかもしれませんし、秋田、新潟限定の土産品の焼き菓子2商品の原材料に米粉を0.004%しか使っていないのに、「純米クッキー」と表示していた某会社のように ほんのちょびっとの軟骨移植で「鼻先軟骨移植術」と呼んでいたのかも知れません。 本当に真相はわかりません。 私にわかるのは現状だけです。
そしてできることは現状が困った状態でしたらそれを治療することです。 

上段:術前です。
下段:施術後2週間再診時です。
d0092965_1184284.jpg

写真はクリックすると拡大します
鼻先の異常な尖りや歪みも消失しました。

d0092965_150918.jpg

写真はクリックすると拡大します御感想も「御満足(5/5)」と順調な経過です。
d0092965_1503482.jpg

写真はクリックすると拡大します
同時にお受けになられた婦人科手術も「満足(5/5)」と順調な経過です。


心にひっかかった患者さんお言葉が「2年前にもしらゆりでうけると前医でうけるか悩んだけど先生のところは全然医者の経歴や資格が宣伝されてなかったから不安でつい専門医を謳っている前医でうけてしまいました。」とのことでした。

私からすると宣伝は自分に自信のないチンピラが組の代紋をちらつかせるのと同レベルと思え、一般的な日本人の美学に反すると思えてしまうので基本的に恥ずかしがり屋の私はしたくありません。

自分の腕に自信があれば日々自分の仕事を世間に包み隠さず見せればよいだけで経歴や資格は医者の仲間内だけのアイデンティティー確認のためだけでそれをあえて宣伝する必要はない、いや、宣伝してはいけないというのが私の考えです。 基本的に著書「医者のホンネ」という本で「専門医制度は医の堕落である」と看破されていた山口大学教授の柴田二郎先生と同様の考えです。

私の仕事内容と結果に御納得されている方のみ診させていただければそれで私は医師として本望です。



追記: 予後記事を2011.08.01および 2012.12.28 に掲載しました。
[PR]
by shirayuribeauty | 2010-12-07 00:10 | 美容外科
<< 他院鼻プロテーゼ留置後入れ替え... 口唇縮小術 :脇山先生 >>